☎0192-22-7311
4月20日~22日で、陸前高田や首都圏に在住の方々総勢16名で、熊本県水俣市を訪問しました。2018年に陸前高田市において2度の交流会を開催し、参加者の中から水俣を訪問したいとの声があがりました。そこで、チームとも・いき主催で2泊3日の研修の旅を企画し実現しました。陸前高田から参加されたのは、北限の茶を守る気仙茶の会、健康と食をテーマにした活動をしているNPO法人りくカフェ、観光物産協会の語り部の方などです。
昨年の6月に陸前高田にお招きした天野製茶園代表の天野浩さん、12月にお招きした桜野園代表の松本和也さんの茶園を訪問し、スケールの大きさに一同ビックリ!また茶を利用した様々な加工品にも力を入れていらっしゃることに感心しきりでした。
杉本さんには水俣病資料館でお話を伺い、その足で杉本さんが暮らされ漁船を係留されている茂道に案内していただきました。熊本の4月は緑が芽吹く時期で、森の緑とエメラルドグリーンの海がとても綺麗で一同感動しました。一方で茂道は多くの水俣病の患者さんが発生した地域でもあり、このきれいな海がチッソの廃液で汚染され多くの水俣病の患者が発生したことに、やるせない気持ちにもなりました。また、チッソの排水溝跡や水俣病歴史考証館なども訪問しました。
今回の旅では、水俣を環境汚染から環境保全のまちへと大きく変えられた、元水俣市役所の企画課長で、現在、地元学ネットワークを主宰されている吉本哲郎さんに、全期間同行していただき、多くのことを学ばせていただきました。
水俣病の公式確認から62年。水俣病で多くの「いのち」が奪われ、今なお多くの「いのち」が苦しみの中にある水俣。この間、対立、差別、憎悪で苦しみ、それを乗り越える努力を重ねてきた水俣の歩みに多くのことを学ばせていただきました。と同時に、「水俣病だけが水俣の歴史ではない。それ以前から水俣は多くの歴史や文化を積み重ねてきている。」という吉本さんの言葉にも、これからの陸前高田のまちづくりを考えていくヒントを与えられたように感じました。
今回お会いした水俣のみなさんは初めて水俣を訪れた私たちを、本当に心からもてなしてくださいました。水俣を愛し、水俣を良くしたい、元気にしたい、水俣の良さを伝えたい、という思いがヒシヒシと伝わってきました。このつながりをこれからも大切にし、「共に生き、共に学ぶ」関係を大切にしていきたいと思います。
12月2日、交流会に先立ち、北限の茶を守る気仙茶の会の主催により、「陸前高田たちのリビングプロジェクト
りくカフェ」において、水俣で製茶園を営んでいる松本和也さんを講師に迎えほうじ茶づくりや茶ノ木を利用した茶器づくりなどのワークショップが開催されました。
ほうじ茶ワークショップでは、煎りたての香りに包まれ多くの学びを得ました。
笑顔が溢れたワークショップとなりました。
数百年という歴史のある気仙茶の茶葉にも生きる大切さを学んだ気がします。
松本さんの技と丁寧な指導で北限の茶を守る気仙茶の会のメンバーも多いに刺激を受けていました。
りくカフェと有志により振舞われたバイキング形式のお昼も大変好評でした。
12月2日、交流会に先立ち、茶のワークショップに並行して、チームとも・いき主催により、りくカフェに隣接する「もとカフェ」において、水俣病資料館で語り部をされている杉本肇さんと陸前高田観光物産協会で語り部をされている3人の方々との交流の場が持たれました。
それぞれの活動の紹介や現状の課題などについて活発な意見交換が行われました。杉本さんからは、たとえば水俣では語り部に市から補助金が出ていることや、熊本県内の小学生は5年生になると生徒全員が水俣病資料館で語り部から話を聞くことなどが紹介され、陸前高田の語り部の方々も刺激を受けられたようです。水俣の取組を伺いながら、陸前高田市全体として今回の災害の教訓から学び、語り継いでいく体制の整備が急務であることを感じました。
人災と自然災害の違いはあれ、多くの尊い命が失われ苦難の道を歩んできている地域に生きる者として、辛い体験を風化させることなく、いのちの尊さを語り継いでいくことの重要性を確かめ合う機会となりました。
これからも交流を重ねていく機会を作っていきたいと思います。
12月2日、13:30から陸前高田市高田コミュニティセンター大会議室において、熊本県水俣市から松本和也さん、杉本肇さんをゲストにお招きし、『陸前高田の明日に向けて、水俣の歩みに学ぶ』と題して、お二人からお話を伺いました。
製茶園を営まれている松本さんの講演では、はじめにNHKの「サキドリ」という番組で取り上げられた映像が流され、水俣のこれまでの歩みや松本さんの活動について紹介がありました。その後ご自身の活動について、チッソ水俣工場から化学物質で汚染された廃液により発生した水俣病の教訓から無農薬、無肥料で茶を育てられていること、しかし最近まで生産地が水俣というだけで買ってもらえなかったこと、今はヨーロッパを中心に海外展開もしていることなどが紹介されました。
ご両親、ご祖父母が水俣病で、今は漁師をしながら水俣病資料館で語り部の活動をされている杉本さんの講演では、水俣病の家族と共に過ごしてきた日々について具体的なお話を聞くことができました。差別や偏見で苦しい時、病気の母親から「決して周りの人を憎んではならんぞ」と教えられたそうです。そして、“笑わんばならんぞ” “覚悟をもって生きろ” “仕事には魂を込めろ” “希望をもって生きろ”と教えられてきたと話されました。
お二人のお話は、人災と自然災害の違いはあっても、多くの命が失われ、今なお苦しい状況の中で日々生きている陸前高田の方々の心に響いたように感じました。
交流会終了後、松本さん指導のもと、地元の気仙茶を使って参加者全員でお茶を楽しみました。急須にお湯をいれておく時間を変えながら、味や香りの変化を学び、楽しいひと時を過ごしました。テーブルには陸前高田の地元のお菓子をはじめ、杉本さんが水俣の海でとられた無添加のシラスもならび、みんなで美味しく頂戴しました。
また、杉本さんが弟と従弟と3人で結成しているコミックバンドの「やうちブラザース」のDVDも放映されました。年間80回以上、被災地に“笑い”を届ける活動をされています。 参加者全員、抱腹絶倒! お母さまから教えられた“笑わんばならんぞ”を実践されています。
松本 和也 氏のプロフィール
熊本県水俣市で製茶園「桜野園」を営む。松本さんは、4代目。農薬散布で目や頭がいたくなり
従来のやり方に疑問を持ち、1990年から化学肥料や農薬など化学物質を一切使わない方法でのお
茶の栽培を始める。2005年、肥料自体を使わない自然栽培を開始する。水俣市の環境マイスター
に認定されている。
杉本 肇 氏のプロフィール
水俣病の患者であった杉本栄子さん、雄さんの長男。現在は漁師として、無添加で安全性にこだ
わったちりめんじゃこなどを漁としている。また、弟、従弟と3人で「やうちブラザース」とい
うコミックバンドを結成し、被災地に「笑い」を届ける活動も行っている。水俣市の環境マイス
ターに認定されている。
「第2回 熊本県水俣に生きる人々との交流会」の講演記録集を2019年2月中旬に発刊する予定です。
北限の茶を守る気仙茶の会有志の主催により、ジャズカフェ・ジョニーにおいて、天野さんを講師に迎え紅茶づくりのワークショップが開催されました。天野さんがご自身の水俣の製茶園で当日の朝に摘まれた茶葉と、今年摘んだ気仙茶の茶葉を使い、手揉みよる紅茶づくりに挑戦しました。
交流会での天野浩氏の講演内容を『講演記録集』としてまとめ発刊しました。
7月4日より販売開始です。是非、ご購入ください。
「講演記録集」をクリックしてください。
日時:2018年6月1日 18:30~21:00
主催:チームとも・いき
共催:北限の茶を守る気仙茶の会有志
特定非営利法人りくカフェ
参加費:1000円
(茶菓代、夕食、資料代)
スケジュール
18:30~19:30 |
紅茶ワークショップ |
天の製園の茶と気仙茶を飲みながら、天野氏からお話を伺い、栽培・製茶・販売など自由に懇談する。 |
19:30~19:50 |
軽食 |
軽食をとりながら休憩。 |
19:30~21:00 |
天野氏による講演 |
環境汚染による水俣病で苦しんできたまちを環境保全のまちへと大きく作り変えていった水俣のまちづくりの歩みを伺う。 |
天野浩氏のプロフィール
株式会社天の製茶園代表。無農薬で緑茶・紅茶・ほうじ茶・ウーロン茶を栽
培、製造販売。同園は、34年間、父親の茂氏の代から農薬を使わない栽培を続けている。天野氏は水俣市が、水俣病を教訓に「安心安全で環境や健康に配慮したものづくり」の推進と、職人のさらなる地位と意識の向上を図ることを目的として認定している「環境マイスター」に認定されている。
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チーム とも・いき
代表 西田邦昭
東京都調布市染地3-1-373
email: kuniaki@rikkyo.ac.jp