熊本県水俣との交流


「第3回 熊本県水俣の人々との交流会」


遅くなりましたが、12月8日(日)に岩手県陸前高田市で開催しました『第3回  熊本県水俣に生きる人々との交流会』および、それに先だって開催しました「陸前高田市・水俣市『友好のパネル展』」、「交流会開催記念チャリティ物産展」、「語り部同士の交流」の模様を簡単に報告します。
11月29日~12月7日でアバッセたかたのパブリックスペースをお借りして、交流会に向けて陸前高田と水俣のパネル展を開催しました。
12月7日には同じくアバッセたかたのパブリックスペースを会場にチャリティ物産展を開催しました。水俣から、今回の交流会の講演をお願いしていた杉本肇さん、やうちブラザースのメンバーである弟の杉本実さんが水俣の海で捕った無添加のしらす、水俣のミカン、昨年高田に来てくださった松本和也さんと天野浩さんのお茶を販売しました。陸前高田からは北限の茶を守る気仙茶の会のお茶、りくカフェのオリジナルコーヒーを販売しました。
しらすやミカンは完売で、とても美味しかったと、大変喜んで頂けました。お茶も多くの方々が購入してくださいました。
12月8日の午前中は、水俣病資料館で語り部をされている杉本肇さんと、陸前高田市観光物産協会の語り部の方々、今年開設されて津波伝承館の解説員の方々との交流の場が持たれました。予め高田の方々から杉本さんにお聞きしたいことをお伝えし、杉本さんから資料に基づきお話を伺いました。さまざまなお話がなされましたが、なにを伝え、なにを語るのか、について深い話しあいがなされました。とても貴重な交流の機会となりました。
12月8日の午後1時30分からキャピタルホテルにおいて、杉本肇さんのご講演とやうちブラザースの公演が開催されました。90名もの市民の方々にご参加頂きました。
肇さんからは水俣病で苦しみながらも前向きに生きられた母栄子さんのお話を中心にお話を伺いました。多くの家族や知り合いを津波で亡くされた高田の方々の心に届くお話で、多くの方々が涙を流されながら聞いておられました。
休憩をはさみ、場面はガラリと変わり、「笑い」をテーマに地元高田のりくカフェシスターズ、アップルガールズ、そしてやうちブラザースの歌と躍りで笑いは最高潮に! みなさんお腹の底から笑っていらっしゃいました。笑いすぎて、お腹が痛い、顔が痛いという言葉が会場のあちこちから聞こえました。中にはアンケートに「震災後、初めてお腹の底から笑いました」と書かれた方もいらっしゃいました。
今回の交流会は、地元の団体や個人の方々と実行委員会を結成し開催しました。私は杉本肇さんとの橋渡しはさせて頂きましたが、実際の準備や当日の運営はすべて地元の方々が担当してくださいました。7日の夜のりくカフェでの歓迎会も8日の交流会の茶菓子も地元の方々の手作りです。本当に素晴らしいおもてなしでした。ありがとうございました。
長々と書いてしまいましたが、私の拙い文章ではとてもそれぞれの様子をお伝え出来ません。
今回も講演記録集を作成し販売する予定です。是非ご購入頂き、少しでもその場の臨場感を味わって頂ければ幸いです。
3回目の交流会でした。4月に有志の方々と水俣に旅したことも含めると4回目の交流でした。回を重ねるごとに高田と水俣の絆が太くなっていってることを感じます。
人災と天災の違いはあっても、両市とも多くの命が失われ「いのちの尊さを社会に、未来に伝えていく」という使命を負ったまちだと思います。
これからも交流を深め、「共に学び、共に生きる」関係を続けていけることを心より願っています。


水俣への研修の旅


 4月20日~22日で、陸前高田や首都圏に在住の方々総勢16名で、熊本県水俣市を訪問しました。2018年に陸前高田市において2度の交流会を開催し、参加者の中から水俣を訪問したいとの声があがりました。そこで、チームとも・いき主催で2泊3日の研修の旅を企画し実現しました。陸前高田から参加されたのは、北限の茶を守る気仙茶の会、健康と食をテーマにした活動をしているNPO法人りくカフェ、観光物産協会の語り部の方などです。

 昨年の6月に陸前高田にお招きした天野製茶園代表の天野浩さん、12月にお招きした桜野園代表の松本和也さんの茶園を訪問し、スケールの大きさに一同ビックリ!また茶を利用した様々な加工品にも力を入れていらっしゃることに感心しきりでした。

 杉本さんには水俣病資料館でお話を伺い、その足で杉本さんが暮らされ漁船を係留されている茂道に案内していただきました。熊本の4月は緑が芽吹く時期で、森の緑とエメラルドグリーンの海がとても綺麗で一同感動しました。一方で茂道は多くの水俣病の患者さんが発生した地域でもあり、このきれいな海がチッソの廃液で汚染され多くの水俣病の患者が発生したことに、やるせない気持ちにもなりました。また、チッソの排水溝跡や水俣病歴史考証館なども訪問しました。

 今回の旅では、水俣を環境汚染から環境保全のまちへと大きく変えられた、元水俣市役所の企画課長で、現在、地元学ネットワークを主宰されている吉本哲郎さんに、全期間同行していただき、多くのことを学ばせていただきました。

 

 水俣病の公式確認から62年。水俣病で多くの「いのち」が奪われ、今なお多くの「いのち」が苦しみの中にある水俣。この間、対立、差別、憎悪で苦しみ、それを乗り越える努力を重ねてきた水俣の歩みに多くのことを学ばせていただきました。と同時に、「水俣病だけが水俣の歴史ではない。それ以前から水俣は多くの歴史や文化を積み重ねてきている。」という吉本さんの言葉にも、これからの陸前高田のまちづくりを考えていくヒントを与えられたように感じました。

 

 今回お会いした水俣のみなさんは初めて水俣を訪れた私たちを、本当に心からもてなしてくださいました。水俣を愛し、水俣を良くしたい、元気にしたい、水俣の良さを伝えたい、という思いがヒシヒシと伝わってきました。このつながりをこれからも大切にし、「共に生き、共に学ぶ」関係を大切にしていきたいと思います。

 

 

 


「第2回 熊本県水俣に生きる人々との交流会」


「陸前高田と水俣の茶を愛する人たちによるワークショップ」の様子


12月2日、交流会に先立ち、北限の茶を守る気仙茶の会の主催により、「陸前高田たちのリビングプロジェクト 

りくカフェ」において、水俣で製茶園を営んでいる松本和也さんを講師に迎えほうじ茶づくりや茶ノ木を利用した茶器づくりなどのワークショップが開催されました。

 

ほうじ茶ワークショップでは、煎りたての香りに包まれ多くの学びを得ました。

笑顔が溢れたワークショップとなりました。

数百年という歴史のある気仙茶の茶葉にも生きる大切さを学んだ気がします。

松本さんの技と丁寧な指導で北限の茶を守る気仙茶の会のメンバーも多いに刺激を受けていました。

 

りくカフェと有志により振舞われたバイキング形式のお昼も大変好評でした。


陸前高田と水俣の語り部の方々の交流の様子


12月2日、交流会に先立ち、茶のワークショップに並行して、チームとも・いき主催により、りくカフェに隣接する「もとカフェ」において、水俣病資料館で語り部をされている杉本肇さんと陸前高田観光物産協会で語り部をされている3人の方々との交流の場が持たれました。

それぞれの活動の紹介や現状の課題などについて活発な意見交換が行われました。杉本さんからは、たとえば水俣では語り部に市から補助金が出ていることや、熊本県内の小学生は5年生になると生徒全員が水俣病資料館で語り部から話を聞くことなどが紹介され、陸前高田の語り部の方々も刺激を受けられたようです。水俣の取組を伺いながら、陸前高田市全体として今回の災害の教訓から学び、語り継いでいく体制の整備が急務であることを感じました。

人災と自然災害の違いはあれ、多くの尊い命が失われ苦難の道を歩んできている地域に生きる者として、辛い体験を風化させることなく、いのちの尊さを語り継いでいくことの重要性を確かめ合う機会となりました。

これからも交流を重ねていく機会を作っていきたいと思います。


「第2回 熊本県水俣に生きる人々との交流会」の様子


12月2日、13:30から陸前高田市高田コミュニティセンター大会議室において、熊本県水俣市から松本和也さん、杉本肇さんをゲストにお招きし、『陸前高田の明日に向けて、水俣の歩みに学ぶ』と題して、お二人からお話を伺いました。

製茶園を営まれている松本さんの講演では、はじめにNHKの「サキドリ」という番組で取り上げられた映像が流され、水俣のこれまでの歩みや松本さんの活動について紹介がありました。その後ご自身の活動について、チッソ水俣工場から化学物質で汚染された廃液により発生した水俣病の教訓から無農薬、無肥料で茶を育てられていること、しかし最近まで生産地が水俣というだけで買ってもらえなかったこと、今はヨーロッパを中心に海外展開もしていることなどが紹介されました。

ご両親、ご祖父母が水俣病で、今は漁師をしながら水俣病資料館で語り部の活動をされている杉本さんの講演では、水俣病の家族と共に過ごしてきた日々について具体的なお話を聞くことができました。差別や偏見で苦しい時、病気の母親から「決して周りの人を憎んではならんぞ」と教えられたそうです。そして、“笑わんばならんぞ” “覚悟をもって生きろ” “仕事には魂を込めろ” “希望をもって生きろ”と教えられてきたと話されました。

 

お二人のお話は、人災と自然災害の違いはあっても、多くの命が失われ、今なお苦しい状況の中で日々生きている陸前高田の方々の心に響いたように感じました。

 


交流会終了後に開催した茶話会の様子


交流会終了後、松本さん指導のもと、地元の気仙茶を使って参加者全員でお茶を楽しみました。急須にお湯をいれておく時間を変えながら、味や香りの変化を学び、楽しいひと時を過ごしました。テーブルには陸前高田の地元のお菓子をはじめ、杉本さんが水俣の海でとられた無添加のシラスもならび、みんなで美味しく頂戴しました。

また、杉本さんが弟と従弟と3人で結成しているコミックバンドの「やうちブラザース」のDVDも放映されました。年間80回以上、被災地に“笑い”を届ける活動をされています。 参加者全員、抱腹絶倒! お母さまから教えられた“笑わんばならんぞ”を実践されています。


松本 和也 氏のプロフィール

  熊本県水俣市で製茶園「桜野園」を営む。松本さんは、4代目。農薬散布で目や頭がいたくなり  

  従来のやり方に疑問を持ち、1990年から化学肥料や農薬など化学物質を一切使わない方法でのお

  茶の栽培を始める。2005年、肥料自体を使わない自然栽培を開始する。水俣市の環境マイスター

  に認定されている。

 

 

杉本 肇 氏のプロフィール

    水俣病の患者であった杉本栄子さん、雄さんの長男。現在は漁師として、無添加で安全性にこだ

  わったちりめんじゃこなどを漁としている。また、弟、従弟と3人で「やうちブラザース」とい

  うコミックバンドを結成し、被災地に「笑い」を届ける活動も行っている。水俣市の環境マイス

  ターに認定されている。


講演記録集の発刊予定


「第2回 熊本県水俣に生きる人々との交流会」の講演記録集を2019年2月中旬に発刊する予定です。

「第1回 熊本県水俣に生きる人々との交流会」


「陸前高田と水俣の茶を愛する人たちによるワークショップ」の様子


北限の茶を守る気仙茶の会有志の主催により、ジャズカフェ・ジョニーにおいて、天野さんを講師に迎え紅茶づくりのワークショップが開催されました。天野さんがご自身の水俣の製茶園で当日の朝に摘まれた茶葉と、今年摘んだ気仙茶の茶葉を使い、手揉みよる紅茶づくりに挑戦しました。


「陸前高田と水俣の茶を愛する人たちによる交流会」の様子


 

2018年6月1日、熊本県水俣市にある天の製茶園代表の天野浩氏を陸前高田にお招きし、標記の交流会を開催しました。2部構成で行い、前半部は天野氏のお茶に関わるお話を伺いながら、今年、天の製茶園で摘んだ茶葉で作った紅茶と、陸前高田市内で摘んだ水出し茶を堪能しました。後半部では、天野氏から水俣における地域づくりの歩みについてお話を伺いました。参加いただいた50名近い方々にも大変好評で、これからの陸前高田の地域づくりを考えていく上でも、とても学びの大きい会となりました。

交流会の『講演記録集』を発刊


交流会での天野浩氏の講演内容を『講演記録集』としてまとめ発刊しました。

7月4日より販売開始です。是非、ご購入ください。

「講演記録集」をクリックしてください。


ジャズカフェ・ジョニーでのワークショップの様子



りくカフェでの交流会の様子



交流会の企画概要


日時:201861日 18302100

 

 主催:チームとも・いき

 

共催:北限の茶を守る気仙茶の会有志

 

   特定非営利法人りくカフェ

 

参加費:1000

(茶菓代、夕食、資料代)

 

スケジュール

 

 18:30~19:30

紅茶ワークショップ

天の製園の茶と気仙茶を飲みながら、天野氏からお話を伺い、栽培・製茶・販売など自由に懇談する。

19:30~19:50

軽食

軽食をとりながら休憩。

19:30~21:00

天野氏による講演

環境汚染による水俣病で苦しんできたまちを環境保全のまちへと大きく作り変えていった水俣のまちづくりの歩みを伺う。


天野浩氏のプロフィール

 

 株式会社天の製茶園代表。無農薬で緑茶・紅茶・ほうじ茶・ウーロン茶を栽

 

培、製造販売。同園は、34年間、父親の茂氏の代から農薬を使わない栽培を続けている。天野氏は水俣市が、水俣病を教訓に「安心安全で環境や健康に配慮したものづくり」の推進と、職人のさらなる地位と意識の向上を図ることを目的として認定している「環境マイスター」に認定されている。


 

☎0192-22-7311